死を通過点と考えるムスリムの葬儀の雰囲気とは
アラビア語でイスラムを意味するムスリムでは、死への考え方が日本とは違います。ムスリムでは、死は通過点に過ぎないのです。死というのは人生の終わりではなく、来世が存在すると考えられています。
そのため、愛する人を失った時には、泣いたり嘆いたりすることはありません。また、日本では火葬が主ですが、ムスリムは土葬が一般的です。
ムスリムでは、亡くなった人は最後の審判を迎えた後に復活し、天国へ行くのだと考えられているからです。復活するためには肉体が必要なため、土葬となっているのです。日本にもムスリムのために土葬可能な土地がいくつかあります。
ムスリムの葬儀では、礼拝から始まります。ご遺体はモスクと呼ばれる礼拝堂に運ばれ、聖地メッカに向かって安置されます。イマームと呼ばれる聖職者が礼拝を執り行い、コーランが読まれます。礼拝が終わると、棺はムスリムの男性達によって運ばれ埋葬されます。それから葬儀が始まります。
その雰囲気は、どちらかというと厳かで静かなものです。葬儀に参列する時には、喪服を着用し故人の思い出を静かに語ることをマナーとします。
この時に、泣くなど哀しみを表情に出すのは控えるようにしましょう。また、非ムスリムの人は礼拝に参加することはできませんが、葬式には参列可能です。しかし、男女が同席するということはありません。男性はモスクへ入れますが、女性は入ることができないのです。女性は、モスク後方や故人の家で静かに故人を偲ぶといいでしょう。
また、日本では親しい人が亡くなると香典を持参します。しかし、ムスリムでは香典は必要としません。なぜなら、ムスリムには香典という風習がないためです。
出しても断られる可能性が高いです。相手が香典というものを理解していない場合には、香典について説明することが大切です。それでも相手が断るようなら、その時には無理に渡そうとはせず引き下がることも大切です。
日本とムスリムでは、死生観や葬儀に対する考え方が違うのだということを意識するようにしましょう。